クリスタルの基地

とある作品の二次創作です。

今年もやってきました

「んー……やっと着いたあー」
飛行機(私物)から水色の髪をした女性が降りてきた。
少し長い髪は上でリボンを使って1つに結っている。
リボンも水色だ。
服装は、半袖の白いワイシャツ、白のスカート、その上に薄手の紺色のベスト、紺色のハイソックス、黒いローファー。
そしてこの暑い中、きちんとネクタイまで締めている。
そう、この女性は吉良海奈。
吉良財閥の社長の妻であり、現在5歳の子供を授かっている立派な母親だ。
「それにしても暑い!絶対みんな練習してないわこれ……」
さらに、ここ福岡でサッカーチームの監督兼コーチもやっている。
10年前に自身が所属していたサッカーチームだ。
所属していたというかこのチームを作ったのは彼女本人である。
「とっりあっえずぅー!公園に行こう!」
無理矢理テンションをあげて、公園へと向かった。


「やっぱり誰もいないわね」
公園の横にはグラウンドが設置してあり、サッカーができるようになっている。
いつもはここで練習しているのだ。
「しかたないわ。鈴丸の家に向かいましょう」
ここに来て既にテンションはダダ下がりなようだ。



鈴丸の家に行くと、インターホンには母親が出たが、いつもと少し違っていた。
確かに海奈はその耳で、鈴丸のお友達?と聞かれるのを聞いた。
鈴丸の母親とは随分長い付き合いなのだ。
そんなことを聞かれるはずが無い。
とりあえず家にはいなかったのでなんとなく学校へと続く道を歩いていた。
すると、隣をピンク色の何かが横切った。
反射的に振り返ると、そこには見覚えのある人物がいた。
「鈴丸!?」
これまた反射的に名前を呼ぶ。
しかしその男の子には鈴丸と決定的に違う部分が2つあった。
1つは髪型。
ポニーテールなのがショートになっている。
そして2つ目……
「何?おばさん誰?」
「お、おばさ……!?」
ちなみに海奈はまだ23歳である。
「っていうかなんで僕の名前知ってんの?怖いんだけど?何?おばさんエスパー??」
2つ目はその態度。
普段なら見つけた瞬間に駆け寄ってくるのに。
あとこんなに目つきも口も悪くない。
「あれ?あんまりにも来ないから私のこと忘れちゃった?」
「はあ?そもそもあんたのこと知らないんだけど」
その言葉に衝撃を受け、海奈は数秒固まる。
何故なのか必死に考え思考を回転させるが、何一つ思い浮かばない。
「もう知らない!!」
挙句の果てに、泣きながらその場から走り去ってしまった。
「何だったんだあいつ……」
鈴丸も数秒停止していた。



「足痛い……なんでローファー履いてきたんだろ……しかも走るとか馬鹿だな私」
海奈はあれから五分程走り続けていた。
若干足を引きつずっている。
「この辺はユウと冷の家ね。どっちかいないかなー」
ちなみにそのすぐそばには美香が住むアパートがあるのだが、足が痛いために断念したのだろう。
エレベーターがない上に最上階である5階だからだ。
それに対し、2人の家は一戸建てで空手の道場が一緒になっている。
海奈が家のインターホンを押そうとしたその時。
「うちに何かご用ですか?」
「はい、ユウと冷に……って冷!?」
いつもと違う雰囲気の冷がそこに立っていた。
鈴丸と違って外見に変化は見られないが、明らかに態度が異なっている。
「そうですが……」
「よかったー、ユウは?一緒じゃないの?」
「?ユウですか?少し待っててください」
それだけ言うと、家の中へと消えてしまった。
「冷もなんか違う?っていうか笑ってたよね!?レアじゃん!?」
そんなことを考えている暇もなく、ユウが出てきた。
後ろには冷もいる。
「何?」
「何言ってんの?練習は?みんなは?さっき鈴丸に会ったけどしてなかったし」
「?」
「ねえユウ、新しい柔道の先生?私聞いてないよ?」
「俺も知らない」
海奈そっちのけで話し出す2人。
鈴丸と同じように、2人も海奈のことは知らない様子だった。
それに加えて、いつも自分からはくっつかない冷がユウにべったりだ。
ユウは無愛想で、冷のことを拒んでいるようにも見える。
「またぁー!?もう、あんた達覚えてなさいよ」
足を少しだけ引きずりながら、海奈は学校へと歩みを進めた。
振り向きはしなかったが、冷の離れろ!という声が聞こえた気がした。


さらに5分。
ようやく学校……水晶透中学校へと到着した。
夏休みなので、人気はあまりない。
「なんで来たんだろう。まあいいや、誰かいないかなー」
正面玄関から当然のように入り、とりあえず教室のある2階へ向かった。
ちなみに2階には、3年生の教室、家庭科室、理科室がある。
「誰もいなさそうね。そうだ、音楽室行ってみよーっと」
今は靴下な為、足の痛みは気にならないらしい。
調子に乗って走って登る。
あまり息切れすることもなく、音楽室のある4階に……
「はぁ……はぁ……階段きっつい」
とはならず、途中からは手すりを使って登っていた。
息を整えると、先程まではきつすぎて聞こえなかった音が聞こえてきた。
「歌声?」
おそらく音楽室からだろうと、なんの躊躇もなくドアを開ける。
と、そこには見覚えのある2人がいた。
「あれっ、姉さん?」
「よく登ってこれたね?」
「階段くらい登れるわよ!!」
和孝と亞衣花だ。
この暑い中、いつも通り仲良くくっついている。
「でもよかったー、あんたたちはいつも通りなのね」
「なんのこと?」
「私達は変わらないよ、ずーっと2人で一緒だもんね!」
「もちろんだよ亞衣花」
「見てて暑苦しいから離れてくれないかな……」
クーラーもついていないこの部屋で、よくもベタベタとくっついていられるものだ。
「ところで、鈴丸のあれはどうしたの?イメチェン?」
「白野君?イメチェンも何も、彼はずっとあんなじゃない」
「学年一の不良と話す機会なんてないから、あんまり知らないけど」
いつもと同じ……ではなかったようだ。
どうやら鈴丸は学年一の不良として通っているらしい。
「ねえ。秋雅たち知らない?」
「秋雅……?」
「紅葉先輩よ!今なら3年生の教室にでもいるんじゃないかしら?」
「そう、ありがとう」
海奈それだけ言って音楽室を飛び出してしまった。



「海奈ちゃん、今頃どうしてるかな?」
「鈴丸に会った時点で泣いて帰ったんじゃない?」
「それだとまずいけどな」
「へえ、何がまずいのかしら?」
びくっ!!と、3人が同じ動作をした。
ここ、3ー4にいた人物は、ミツルと霙、そして秋雅だ。
「全然気づかなかった……どうやって入ったの?」
「私を誰だと思ってるの」
黒い笑みを浮かべ、自分の右目を指さしながら答える。
海奈は右目で幻を見せることができるのだ。
「ばれたんなら仕方ない。ミツル、みんなに知らせろ」
「オッケー!」
「それじゃあいくよー!」
「え、待ってどこに!?」
霙に腕を引かれ、どこかへ連れていかれる。
しかしそこは、決して近くはなかった。


「公園?」
みんながいつも練習している公園だ。
そこにはもう、他のみんなの姿があった。
「それじゃあいくよ、せーのっ!」
「「「誕生日おめでとう!!!」」」
クラッカーの音とともに、その一言が響き渡った。
「今日って7月の31日じゃないの?」
「何言ってるんだ。とうとう頭が壊れたか?今日はもう8月。8月1日だ」
慌てて自分の腕時計を確認する。
すると、それは7月31日の8時25分くらいで止まっていた。
「いや気づけよ……どんだけ見てないんだよ……」
悠翔のツッコミが入る。
そこで止まっているとなると、昨日は腕時計を全然見ていないことになる。
「ふふ、ありがとうみんな」
今年の海奈へのサプライズは、無事成功に終わった。







後半飽きたんですすみません。
鈴丸は学年一の不良、ユウと冷は性格入れ替わり、和孝と亞衣花は合唱部、というふうに今年も演技をしていましたが、他はこちら。
秋雅は寝てるだけ、ミツルと霙は入れ替わり。
夜枝と流としおんは他の公園で遊んでる無邪気(ここ重要)な子供達。
美香は美術部のお姉さん。
悠翔は女の子っぽい、拓巳は男の子っぽい陸上部。
鈴人は一匹狼じゃなくて図書室にいた。
ちなみにこれは3Dのうごメモにあげたものとだいたい同じです。
だから飽きたって言ったじゃん!!!

海奈Happy Birthday☆〜(ゝ。∂)

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